日・緬学生の絆が深まった 「さあ行こう!壬生寺体験ツアー」

当協会の人材交流部会が主催した特別企画「さあ行こう!壬生寺体験ツアー」が2023年8月27日(日)、好天に恵まれた京の地「壬生寺」(注1)で開催された。この企画は在日ミャンマー留学生と日本の学生並びに当協会員が一堂に集い、共に日本文化や歴史を学び合い交流し絆を深める事を目的とするものです。

当日の参加者はミャンマー留学生8名(龍谷大学2名、京都民際日本語学校6名)インドネシア留学生1名(京都民際日本語学校)、日本人学生2名(立命館大学)、当協会員3名(山下、村上、岡)の計14名の他、当日ご講演と施設のご案内をいただいた壬生寺長老・松浦俊海様、同氏のアシスタント松浦静様を加え計16名となった。

定刻の13:30、会場となった趣のある書院地下ホールに全員が案内され、先ずそこで目についたのは歓迎の意を込めて、壬生寺様が手作りされた各国の国旗がテーブル上に整然と並べられていた事でした。各自は感動しながらその国旗の場所に着席し、手渡された貴重な講演会資料に目を通していた。

その資料には、今回のツアー参加者へのプレゼントとして、壬生寺とご縁の深い中国の「鑑真和上」の「仏法継承のこころ」を日本語、英語、イタリア語、ドイツ語に編纂した壬生寺オリジナルの冊子3冊と令和5年の干支に因んだ「御朱印」がセットされていた。

講演される松浦長老様。(書院地下ホール)

開会に当たり、当協会の進行役の発声で講演者の松浦長老様が登壇され、ミャンマーの概要とご自身が1956年(昭和32年)5月から1957年8月までの1年3カ月間、「ゾーナ」という僧名を頂き、ビルマ僧として修行された経験や、また、その後もミャンマーとのご縁が今日まで続いている事、ミャンマーが如何に素晴らしい国であるかを英語、ミャンマー語を交えながら熱く語られた。その後プロジェクターを使い、「本堂」、「壬生狂言が行われる大念仏佛堂」、「新選組所縁の壬生塚」など、壬生寺の重要文化財を含めた多数の施設が紹介された。

講演の後、14:45頃からは休憩を兼ねたフリートークの時間となり、壬生寺様がご準備いただいた美味しいソフトクリームと壬生寺名物のほうらく煎餅に舌鼓を打ちながら、各自席を移動して自由に交流を行った。

熱心に聞き入る参加者。(会場の書院地下ホール)

初めてミャンマー人と接した日本人学生や当協会の新入会員は、目を輝かせながら熱心に話し合っていた。松浦長老様も話の輪に参加され、久し振りに沢山のミャンマーの方とお話ができたと大満足のご様子であった。

16:00頃、書院地下ホールから、境内の介護付有料老人ホーム「ウェルエイジみぶ」の6階屋上へ移動。
当日は快晴に恵まれたことで、京都市街や遠くは比叡山の山並みなど360度の眺望が堪能できた。特に毎年8月16日に開催される「五山の送り火」では「大文字」など5か所の送り火を全て観る事ができる絶好スポットでもある。
参加者は滅多に立ち入ることができないこの場所で、各自記念撮影をしたり、時の経つのも忘れて大いに楽しんでいた。

素晴らしい眺望の「ウェルエイジみぶ」6階屋上で記念撮影
本堂前で記念撮影

屋上を後に、1856年に再建された「大念仏佛堂」(重要文化財/狂言堂とも言い、壬生狂言が演じられる舞台を有する建物)を見学。続いて本堂前での記念撮影の後、本堂に案内された。松浦長老様より1962年に本堂が全焼し本尊地蔵菩薩像を含む多数の寺宝を失ったが、新しい本尊延命地蔵菩薩像(重要文化財)が、律宗・総本山唐招提寺から移された事や本尊や脇侍をとり囲む貴重な天井絵、障壁画、襖絵などが紹介された。

貴重な文化遺産が並ぶ本堂内全景(壬生寺HPより)

本堂を後にし、阿弥陀如来三尊像が安置されている「阿弥陀堂」へ移動。この奥の新選組隊士墓所がある壬生塚を参拝。ここには新選組局長・近藤勇や2023年7月に建立された副長・土方歳三の胸像が祀られている。また、阿弥陀堂の地下には壬生寺歴史資料室があり、寺宝や新選組の関連資料が展示されている。参加者は初めて見るものばかりで、松浦長老様の説明をお聞きしながら、貴重な文化遺産に見入っていた。

17:00前、阿弥陀堂前で解散となり、各自楽しかった想い出を胸に帰路に就いた。

こうして人材交流部会として初めて開催した「ミャンマー留学生交流会」が無事成功裏に終わる事ができましたのも、壬生寺長老の松浦俊海様並びにスタッフの皆様、龍谷大学グローバル教育推進センター事務部様、立命館大学・草津キャンパス国際交流課様、京都民際日本語学校様による多大なるご尽力の賜物であり、ここに厚く御礼を申し上げます。

最後に、今後の人材交流企画につきましては、当協会常務理事の山下賢一氏の「ミャンマーの若者達が望むなら、ミャンマーの現状をどう感じて、これからどうして行きたいのか。そんな事も自由に話せる環境を作ると共に、日本の若者と交流し合える接点が必要だ」との提言も踏まえ進めて参ります。

立命館大学・常田 大翔

今回の企画においては、大学での講義や日々のニュースであまり感じる機会のなかったミャンマーの文化や人々の日々の生活、考え方などに、ミャンマー人学生の皆様との交流を通して触れる事ができたのは大変有意義な時間でした。また、壬生寺の普段立ち入ることができない屋上にもご案内していただけるなど、とても貴重な体験でした。大変ありがとうございました。

龍谷大学 ミャンマー留学生・ゾーサインモー

今回は日本ミャンマー友好協会のお陰で壬生寺への交流会に参加することになり、そこで歴史的なものや宗教的なものなどいろいろ見学できて良かったと思います。特に新選組の話が面白かったと思います。そして、自分の国の人達と会えて嬉しかったです。全体的に参加して良かったと思います。

(当協会員・村上 允彦)

壬生寺体験ツアーに参加させていただきありがとうございました。ミャンマーの方々ともっと話したり、ミャンマーについてもっと知りたい気持ちになりました。
特に壬生寺歴史資料室に展示されていた壬生狂言のお面にとても興味が湧きました。

(注1)お地蔵さんの寺、壬生狂言・新選組ゆかりの寺

「壬生寺」

鑑真和上ゆかりの律宗・壬生寺は、 正暦2年(991)に快賢僧都によって創建された。本尊は延命地蔵菩薩(重文)であり、古来よりの地蔵信仰とともに、厄除・開運の寺として庶民の信仰を集めている。特に2月に開催され約900年もの歴史を持つ厄除け節分会や、700年の伝統をもつ壬生狂言(重要無形民俗文化財)は毎年盛大に行われている。また、幕末に活躍した新選組ゆかりの寺としても知られ、境内の壬生塚には局長・近藤勇や副長・土方歳三の胸像など隊士11名の墓塔が祀られている。
京都市中京区壬生梛ノ宮町31

当協会理事・関西支部事務局長
岡 晃市

よかったらシェアしてください!
目次
閉じる