セミナーの開催
国軍によるクーデター後、1年を経たミャンマーの今後を展望する以下のセミナーを開催しました。
日時:2021年3月12日、午後3時~5時
講師:中西嘉宏、京都大学東南アジア地域研究所准教授
トピック:「ミャンマー政変の行方:民主化は進展するか?」
目次
講演概要
2021年2月1日に軍事クーデターが発生し、アウンサンスーチー国家顧問を含む政権幹部多数が拘束された。これに対抗して、市民、公務員等は「街頭デモ」「市民的不服従運動」「対抗政権の樹立」といった組織的抵抗運動を拡大したが、国軍による弾圧で多くの犠牲者が出ている。最近は、国軍と民主派の武装抵抗勢力との衝突が激化し、現在も終わらない混迷が続いている。
国軍と民主化勢力は、互いに「テロリスト」と呼び合い、衝突が激化しており、短期的な和解はない。日本は、独自の外交路線で圧力と対話を志向しているが、存在感は薄く、「民主化の定着、法の支配および基本的人権の保障に係る状況」への配慮を原則として対処するも、対ミャンマー政策の見直しが必要であろう。
結論として、国軍と民主化勢力(抵抗勢力)との対立の溝は深いうえに、実効支配と正当性が分かれている状態で、しばらくはこの混迷が続きそうである。このため、人道危機の可能性に備える必要性がある。