JMFAセミナー開催のご案内「ミャンマー政変の行方:民主化は進展するか?」
2021年2月1日、コロナ禍の最中のミャンマーにおいて、国軍は突然クーデターを敢行し、NLD政権の主要幹部を逮捕して、「国家統治評議会」を設立し、その下に軍事政権を設立しました。前年11月に実施された総選挙において、「選挙人名簿」に間違いが多く、総選挙に不正があったので、選出された国会議員の当選と新政府の樹立は承認できない、というのが、その論拠でした。
これに対して、国民民主連盟(NLD)は総選挙は有効であり、選出された国会議員は合法的に選出されたものであると主張し、全国で数百万人の市民がこれを支持する街頭デモあるいは「公務員の不服従運動」(CDM)により、軍事政権に反対の意思を表明しました。国軍と警察が市民の反軍政デモを武力によって弾圧したため、1年経った現在までに、死者は1400名以上、逮捕者は、10000人を超えたといわれています。
反軍事政権の民主派は、国民統一政府(National Union Government)を成立させて閣僚を選出し、「人民防衛隊」(People Defense Force)を設立して、幾つかの少数民族の武装組織と協力して武力での対抗を各図したため、各地で武力衝突が発生しています。
昨年4月にASEAN諸国が、ミャンマーに対して5項目(注)の調停案を作成し、出席したミンアウンフライン「国家統治評議会」議長も承諾したとされるものの、それらの5項目は未だに実施されておらず、AESANの調停も進捗していません。また、日本政府と関係者の度重なる助言も効果が見えてないようです。軍事政権は、総選挙を2023年8月までに実施すると、していますがそれまでは現在の武力対決が継続しそうな気配です。
このような不確実な政情の下で、経済活動は徐々に回復してきていますが、どうすれば、ミャンマーに民意に立脚した民主的な政権が誕生して、政治・経済・社会の平和と安定を達成することができるでしょうか?
この問いについて、ミャンマー専門家の中西先生をお招きして、セミナーを開催し、会員の皆さまと一緒に考えたいと思います。
日 時:2022年3月12日(土)、午後3時~5時
場 所:ZOOM方式:
講 師:中西嘉宏、京都大学東南アジア地域研究所准教授
トピック:「ミャンマー政変の行方:民主化は進展するか?」
参加費: 無料
参加希望者は3月6日までに、事務局宛てにご連絡ください。tzkosm@abelia.ocn.ne.jp (専務理事:都築治)
ZOOM会議のご案内を送付します。ただし、当日の飛び入り参加も可能です。(事務局に当日お知らせください)
講師への質問
本セミナーの内容に関連して、講師に対する具体的な質問を歓迎いたしますので、事前に事務局宛に送付してください。tzkosm@abelia.ocn.ne.jp (専務理事:都築治)
講師紹介
中西嘉宏、京都大学東南アジア地域研究所准教授
兵庫県生まれ。京都大学アジア・アフリカ地域研究科修了[博士(地域研究)]。
日本貿易振興機構・アジア経済研究所研究員などを経て、2013年から現職。
ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際関係大学院客員研究員、ヤンゴン大学客員教授などを務める。
専門は東南アジア地域研究、比較政治学、国際関係論。
[著書]
- 『軍政ビルマの権力構造―ネ―ウィン体制下の国家と軍隊(1962−1988)』(京都大学学術出版会、2009年)、
- 『ミャンマー2015年総選挙:アウンサンスーチー新政権はいかに誕生したか』(長田紀之、工藤年博との共著)(アジア経済研究所、2015)、
- 『ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相』(中公新書、2021)(サントリー学芸賞受賞)など
注:ASEAN が提案した「5項目の調停案」
- ミャンマーにおける暴力行為を即時停止し、全ての関係者が最大限の自制を行う。
- ミャンマー国民の利益の観点から、平和的解決策を模索するための関係者間での建設的な対話を開始する。
- ASEAN議長の特使が、対話プロセスの仲介を行い、ASEAN事務総長がそれを補佐する。
- ASEANはASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)を通じ、人道的支援を行う。
5.特使と代表団はミャンマーを訪問し、全ての関係者と面談を行う。