経済セミナーの開催
2024年9月13日、国軍によるクーデター後、3年を経たミャンマーの今後を展望する以下のセミナーを開催しました。
日時:2024年9月13日、午後8時~10時
トピック:「変容するミャンマー紛争―民主化闘争から民族闘争へ」
講師:政策科学研究大学院大学 工藤年博教授
講演概要
現在のミャンマー政治の混迷は、反国軍闘争の性格が変質したことによるものだ。当初は、選挙結果に基づく民主的政治の回復を求める民主化への反国軍闘争であったが、あまりにも酷い国軍の武力弾圧に対して、民主派が武装して少数民族の武装組織と協力して反国軍闘争を強化した。これを機に、国軍と停戦協定に署名していた少数民族の中から協定を破棄する者が出てきたと同時に、少数民族の3グループが2023年10月27日の国軍への反抗攻撃を開始した。この結果、少数民族の団結・共闘が全国的に強化されて、国軍が劣勢に立たされ、もはや、民主化闘争よりも、民族的な武力闘争に変質してしまった。
トピック:「ティラワ経済特区の現状と課題」
講師:一般社団法人 日本ミャンマー友好協会 高松重信 副会長
講演概要
「ティラワ経済特区(SEZ)」は、現在の政治的混乱による困難にも拘らず、関係者の懸命な努力によって、投資企業111社の95.2%が稼働している。稼働率は電力消費量でみると2019年比で95.8%に回復。ただし、経営状況でみると、好調企業は32%で、普通が29%、苦戦25%、その他は14%となっている。ティラワSEZ内では、14,500人が働いており、SEZ 内外で間接的に働いている人は20,000人を超えた相当数に上る。6月8日に新バゴー橋も開通したので、その流通への効果も大いに期待されるところ、今後、アジアハイウエイへのアクセスも改善され、ヤンゴンを含む一帯がアジアのハブ都市として発展する十分なポテンシャルを持っている。